子どもの副鼻腔炎のおはなし-その1・副鼻腔炎ってなに?の続きです

(3)子どもの「副鼻腔炎」って?
「子どもに蓄のう症はない」と言っている方もいらっしゃいます

子どもは鼻腔と副鼻腔がほぼ一体になっているので、そもそも副鼻腔に液体が溜まらない(副鼻腔の粘膜から鼻汁がでても、すぐ鼻に流れる)し、大人の副鼻腔炎は通路の粘膜が腫れて副鼻腔の中に液体が溜まり、圧が上がって痛みが出るので、子どもと大人では全く違うものと言ってもいいと思います。

鼻水が副鼻腔に溜まるだけでは痛みは出ません。実際、全く違う病気(けいれんなど)で頭部のCT撮影をすると副鼻腔に鼻水が溜まっていることはよくありました。


副鼻腔比較一方、昔は「3歳までは副鼻腔炎にならない」と言われていました。ただ、最近の画像診断の発達で、小さい副鼻腔の中でも粘膜の腫れが確認できることから、「赤ちゃんでも副鼻腔炎はある」と言う人もいます。鼻の粘膜と副鼻腔の粘膜はつながっており、はな風邪での粘膜の炎症がそのまま副鼻腔の粘膜まで起こすことは容易にあります


粘膜が腫れたら副鼻腔炎、という診断だとしても、子どもの場合痛みを伴う副鼻腔炎になることはほぼないので、はな風邪と区別する意味はあまりないと思います。そのため、最近は「鼻副鼻腔炎(びふくびくうえん)」と言うそうです。また難読漢字が出てきました(;_;)



(3)副鼻腔炎の治療って?

まず、同じ粘膜の炎症なので、はな風邪と区別する必要はありません。

基本的には鼻水に対しての治療で、長引くときに初めて抗生剤の投与を考えます

抗アレルギー薬を使っているケースがあるのですが、風邪の鼻汁に対して抗アレルギー剤を使うと鼻汁が出る期間が長引くので、副鼻腔炎でも同じと考えていいと思います。
明らかにアレルギーが原因の鼻汁でないのであれば、抗アレルギー剤の投与はかえって症状を悪化させるのではないかと思います。


ちなみに、「検査で〇〇アレルギーと言われている」という人でも、今出ている鼻汁がアレルギーが原因とは限りません。特に保育園などの集団生活をしているお子さんでしたら、風邪のほうが頻度としては多いと思います。そのため、その都度鼻汁を見て判断することが必要だと考えます。


副鼻腔炎といっても、特に小児の場合、はな風邪とはっきり区別する必要はないと思いますし、もちろん、大人の蓄のう症とは全く異なるものなので、言われたからってそれほど神経質になるものもでもないと思います。

もちろん、鼻汁で困る症状が出ているのであれば原因が何であれ対応は必要だと思いますので、その都度相談してください。