ちなみに、「ふくびくうえん」と読みます。「腔」という漢字が「こう」とも読むので意外に難読漢字だったりします。そもそも医学用語って読みにくいですよね?
診察の時に、「副鼻腔炎と言われている」ということを時々耳にします。
小学生ぐらいならまだしも、1-2歳のお子さんの診察でその話を聞くと、本当に副鼻腔炎?定義が変わったのかな?と思ってしまうことがあったので、改めて調べてみました。
鼻の中(鼻腔(びくう)と言います)の周囲に、主に4つの空洞(左右にあるので全部で8つ)があり、それを「副鼻腔」と言い、副鼻腔の粘膜が炎症を起こした状態を「副鼻腔炎」と言います。
教科書的には、「空洞に膿が溜まる」となっており、症状も「どろっとした匂いのする鼻汁、後鼻漏(こうびろう:鼻汁がのどに落ちること)、鼻づまり、頬・鼻周囲・額の痛み、発熱」となっています。また、3か月以上続くものを「慢性副鼻腔炎(蓄のう症)」というそうです。
(2)小児と成人の副鼻腔の違い
副鼻腔は生まれた時からあるわけではありません。
出生直後は大きくても小豆大ぐらいで、1-3歳ぐらいから少しずつ大きくなっていきます。成人と同じような構造になるのは10歳ぐらいです。
鼻からの粘膜が連続して副鼻腔の中を覆っています。
以上の2点と、小児の「はな風邪」の症状を見ながら比較してみます。
はな風邪にかかると、1-2日程度の鼻づまりや人によっては発熱があり、その後どろっとした鼻水が出ます。
どろっとした鼻水は2週間ぐらい続き、だんだんと減ってきます。また、どろっとした鼻水が寝ているときにのどに落ちる(後鼻漏)こともあり、その時に咳が出ます。
幼稚園や保育園に登園しているお子さんは、鼻水だけの症状で元気であれば登園すると思いますので、登園してまた別のはな風邪に感染すればまた鼻水が出てきます。例えば、入園して1年目のお子さんなどはこんな感じで数か月以上鼻水が続くことはよくあると思います。
上の「はな風邪」の話で出てきた症状と、その前の「副鼻腔炎」の症状を比べると、症状だけなら全く同じになると思います。
つまり、症状だけでは「はな風邪」と「副鼻腔炎」の区別はできません。
しかも、繰り返し何回もはな風邪にかかっている状態と、「慢性副鼻腔炎(蓄のう症)」の区別もつかないと思います。
また、1歳ぐらいでそもそも副鼻腔自体ができていない子が「副鼻腔炎」になりようがない、という話にもなります。
小児の副鼻腔炎のおはなし-その2・子どもの副鼻腔炎って?治療は? につづく