さんた論法

今日は、「さんた論法」のお話をしたいと思います。
別に、クリスマスに忙しいサンタさんの話ではありません。

「さんた論法」というのは、ある薬を「使った」→病気が「治った」→薬が「効いた」という論法のことで、全てに「~た」がつくから「さんた論法(3た論法)」というそうです。
(元々は「雨乞いをした→雨が降った→雨乞いをすると雨が降る」なんだそうです)

典型的なのは、がんの治療に○○という認可外の薬を使った→がんが治った→がんに○○が効いたというもので、いわゆる標準的な治療から外れる民間療法などでよく見られるものですが、そのようなレベルの話でなくても日常の診療の中でも見ることがあります。

例えば「風邪をひいて熱が出たので抗生剤を飲んだ」→「熱が下がった」→「風邪に抗生剤が効いた」ということを言っていた時代がありました。
ただ、風邪自体は何もしなくても数日で解熱することが多く、しかも風邪自体はウイルス性なので細菌をターゲットとした抗生剤は効果がないので、この理論自体間違っていると言えると思います。
このように、さんた論法で説明できるものの多くは理論的に詰めるとおかしい事が多いです。

治療でなくても、検査などでも見られることがあります。
例えば、蕁麻疹が出たのでアレルギー検査をした→何かの食べ物の数値が上がっていた→それまで食べても大丈夫なものだったが除去したら症状が出なくなった、ということをよく聞きます。

ただ、蕁麻疹などの多くは原因はわからないものであり、むしろ体調の良し悪しに左右されて出るものが多いと言われています。しかも、食物アレルギーの場合、食べてすぐ出た、というように因果関係がとてもはっきりすることが多く、その因果関係がはっきりしない、例えば朝起きたら蕁麻疹が出ていた、等というのはむしろ食べ物は無関係、ということが言えると思います。

むしろ、アレルギー検査を行うと無症状でも数値が上がっていることは多々ある(私も卵白や小麦で陽性だったと思いますが、温泉卵もうどんも大好きですし何も起きません)ので、検査も無意味ですし、体調が回復することで蕁麻疹自体も改善するので、除去で改善したわけでもないとなります。

検査にしても治療にしても、ただやみくもに行うのではなく、ある程度の理論と根拠を持って実施するものであり、特に検査に関しては、とりあえず検査するではなく、○○という所見があるから検査する、ぐらいの根拠をもってやるべき、と思っています。

一応お断りしておきますが、私は検査・治療反対派ではありません。ぶっちゃけて言えば検査も治療もやった方が経営的には良かったりもします。

それでもやらないのは「ちゃんとやんねん」(わかる人しかわからないネタですみません)はしっかりしたほうがいいと思うからです。
(ブログ担当:先生、ハイキューネタをぶち込まんといてください(笑)。やらんとあかんことはちゃんとやる、ということのようです)
説明がくどい、と言われるかもしれませんが、何をやるにも理論的に説明する、を目標として今後も診療を続けていきますので、宜しくお願いいたします。