「麻しん(はしか)患者が出た」というニュースが時々話題になります。

最近では山形や金沢で患者が出た、とニュースになりましたし、昨年夏に麻しんの患者さんがコンサートに行って問題になったのは記憶に新しいところかと思います。最近患者さんが増えたわけではなく、今では麻しんの患者さんを診断したら、保健所に報告する義務になったのでニュースになるわけです。

麻しん自体は昔からあった病気ですし、江戸時代には「命定め」とまで言われた病気で、現在でも発展途上国では10~30%の死亡率ととても高いものになっています。

私が医師免許を取ってからも何回か地域的な流行があり、なぜか流行しているときにその地区に自分が勤務していた(涙)ということもあって、麻しんの患者さんを多く診てきました。
今の若い医師は麻しんを見たことがなく、診断の遅れにつながる、とは言いますが、そういいた事情から、私自身は麻しんの診断にはそれなりに自信があります。

2015年にWHO(世界保健機関)が「日本固有の麻しんウイルスはいない(麻疹排除国)」と認定しましたが、これは日本に麻しんウイルスがいないだけで、世界的にはまだ普通にウイルスは存在します。最近の国内での散発的な発生は、流行地域(主に東南アジア)に海外旅行に行き、そこで感染して国内で発症する、というパターンです。

しかも、潜伏期間(ウイルスが体に入ってから感染力を持つまでの期間)が10~12日と長く、症状が出る1-2日前から他人に感染する力を持つので、感染力を持つ最初の頃に外出をしているとさらに感染が広がることになります。

麻しんに対する治療薬はなく、自然治癒を待つしかないのですが、今1歳台と年長さんのお子さんが注射しているMRワクチン(麻しん・風しんワクチン)を接種していると、ほぼ予防できるといわれています。
ただ、1回しか接種していないと、大人になってからワクチンの効果が減弱し、かかりやすくなります。

自分は麻しんに対する免疫があるのかどうかわからない、という方について、最近変わりました。
以前は血液検査で免疫の有無を見ていたのですが、最近では1歳以上で2回MRワクチン(麻しんワクチンでも可)を接種していれば抗体はあるものとして検査まではしなくていい、となりました(検査してはいけない、というものではありません)

MRワクチンを接種していない、という方はぜひこの機会に接種してください。
自分は海外に行く予定はないからいい、というわけでなく、海外に行った人から感染するリスクもあります。

・・・ということを先日勉強してきましたので、ここで自分の忘備録がわりに書いておきました。